稽古内容 護身術 ーーー心と身体を護る技術ーーー
忍術秘訣文
武道兵法は身を衛(まも)るものなり。しかし、護身の骨子は忍法にあり。忍術は精神をも衛る故(ゆえ)なり・・・・。(『戸隠流忍法入門』 初見良昭著 1987年に全文が掲載)
武神館の技術は、危険な側面に遭ったときに、自分自身や、大切な人を守るために生かされます。戦わずして危機を回避できればそれが最善ですし、究極的には危険なことを察知して、そもそも危険な目に合わないための感覚まで身に着けることを目指しています。忍術秘訣文にもありますが、護身術を学びたい人にとって忍術は学べることが多い武術であると思います。
武神館の通常の稽古においては、古武器の稽古はもちろんですが、対ナイフや銃、武器への稽古も行っていますし、危機の時には周囲にある日用品を武器として活用することも想定しています。稽古していれば実はそれらの根底にある「体術」と「感覚」は、同じものであることが次第にわかってきます。これが、「古」武術でありながら、「現代」の軍事の最前線にいる人々が武神館を学ぶ理由です。自分を守るために、生き延びるために何が最も大事なのか、今も昔も変わらぬ普遍のものを武神館の技術は伝えているのです。
また、スポーツと違い、ルールなど無い現実の危険な場面では、そのほかの感覚が鋭敏であることにより、その場を切り抜けられることもあります。動物達が人間には無い感覚能力を使って、地震や天災を予知したりするのと似ています。
実際、 初見先生が誰よりも先に危険を察知して移動し難を逃れた話は、誇張された伝説でもなく、普通に、数多くの弟子達が実際に目の当たりにしていますし、手塚師範も含めて、高段者のなかには第六感的な行動を自然にする人も多いです。しかし、それは神秘主義の範疇として、それだけを取り立てて訓練して身に着けるものではなく、第五感をフル活用した武神館の稽古の延長として自然と身につくもののようです。
武神館の本部には、世界中から要人警護のスペシャリスト、情報機関の専門家達が、初見先生から武神館の技と精神を学ぶためだけに来日しています。
以前テレビ番組で、初見先生の元に、各国軍隊トップのみならず、ローマ法王やアメリカ大統領などからの感謝状が山ほどある映像が放送され話題になりましたが、これは、そういった要人の護衛にあたっている者達が武神館の門下生だからだそうです。 そういった護身の高等技術を必要とする人達にとっても学ぶべきものが多いということかもしれません。
護身術といっても、その場面によって色んなレベルの技術が必要だと思いますし、安全な日本においては、今は必要が無いと感じる人もいると思います。ただ、「危険な場面」は予告なしにある日突然やってくるものなので、どの護身術であれ、日ごろから学んでいて損は無いと思います。当支部道場には、会社の帰宅途中に道で犯罪に巻き込まれた経験のある者、同業者がクライアントに殺された経験を持つ者も稽古しています。日本においてのことです。
忍術秘訣文にもありますが、忍術を学ぶことは精神をも護ります。日常においても、いざという時にも、常に平時の稽古のときと同じ平常心で、危機を切り抜けられる道を見つけられるようこの武道を学んでいただけたらと思います。
・・・忍者とは、逆境にもめげず、苦しみの中から、生きのびるために工夫をしつづけた偉大な人間なのです。(『戸隠流忍法入門』序にかえて、より抜粋 初見良昭著 1987年)